SPACE MACHINE

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spacemachine.jpg  00年に入って山崎マゾが始動させた「スペース・マシーン」は、98年頃からマゾンナにも一部取り入れてきたトリップ感のあるスペーシーな電子音のみを追求する「アナログ電子宇宙音プロジェクト」である。マゾンナとして活動を始めた頃から山崎が興味を抱き、傾倒してきた50〜60年代の初期電子音楽、60年代英米サイケデリック・ミュージック、70年代ジャーマン・ロックなどに聞ける精神系統にダイレクトに作用する電子音を研究するため、アナログ・シンセサイザーや各種ヴィンテージ機材を買い集め、自宅スタジオで音の実験を繰り返しながら、模索していく内にマゾンナとは別の新たな方向性を見い出していった。マゾンナの激烈で過酷な手加減を許さない ライヴ・パフォーマンスは、常に肉体への直接的ダメージを避けらないものであるため、体調を崩してしまった山崎は00年に一時的にマゾンナとしての活動を封印し、スペース・マシーンの活動を本格化させる。

 自宅「スペース・マシーン・システムズ・スタジオ」で日々繰り返されている山崎の音楽的インナー・トリップ探索の成果であるスペース・マシーンは、マゾンナとしての活動とコインの表裏のような存在だ。スペース・マシーンのコンセプトは、マゾンナで打ち出す絶叫ノイズとアクションによる「究極の一人ロック・バンド」スタイルと対極にあり、絶叫を始め一切のヴォイスとアクション、ロック的要素全てを排除し、所謂ノイズのジャンルにも含まれないノン・ビートでピュアな電子音楽を目指す。音源にはアナログ・シンセサイザー(EMS VSC3,ROLAND SYSTEM 100 & 100M,PAIA 4700 MODULAR,DOEPFER MODULAR,etc)とアナログ・エコー装置のみを使用。ロック、ノイズ的音成分の特徴であり、マゾンナで多用しているファズ、ディストーション歪み系エフェクター等は一切使用しない。そのサウンドは、一般にエレクトロニカ、音響系と呼ばれるジャンルの多くとは似て非なるもので、強靱なサイケデリック的視点で一線を画す。また、ノン・ビートである点でトランス系ダンス・ミュージックの享楽的肉体性とも相容れない。旧来のシンセサイザー音楽にありがちだったニューエイジ的自然主義や抹香臭さとも当然ながら無縁。ただ、ひたすら果てしない宇宙空間で、終わりなく延々と織り出されるフューチャー・レトロな電子音のタペストリー。無機質さと有機性が交錯する不思議な響きが感じ取れる。

 山崎の潜在意識中にある精神宇宙空間の流れを即興的に反映させるため、自ずとサイケデリックな展開を伴い、ライヴ・パフォーマンスにおいても全神経を演奏そのものに集中させ、終始ノー・アクションを貫き通す。閃光の如く、覚醒したまま一瞬でケリがついてしまうマゾンナとは違って、約30分〜2時間前後の幻覚的な電子音のコズミック・ドラマが揺らめき、時にはステージ背後にサイケデリック・イメージを喚起させる映像を投影する。ライヴは基本的に一人で行っているが、河端一(アシッド・ マザーズ・テンプル)中屋浩市(ナスカ・カー)長谷川洋(アストロ/ex CCCC)などをゲストに迎え、より広大なコズミック・セッションを展開する場合もある。01年にアルケミーからファーストCDを発表。ウエブサイト上でのヴァーチャル・コンサートといった21世紀的な新たなる試みをも実施している。

(文責・東瀬戸悟)
[2002年・秋]



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